地方行政をめぐる状況
(基礎資料)
地方財政
高齢化
地方分権改革
市町村合併
情報公開、直接請求、電子自治体等
平成15年11月6日
目次
T地方自治をめぐる厳しい状況------------------------------------------------------------------------P.4
1 破綻した国・地方の財政-----------------------------------------------------------------------------P.4
1.1 一向に改善されないわが国の財政赤字
1.2 主要先進国中最悪の債務残高
1.3 国及び地方の長期債務残高
1.4 多額の収入不足にみまわれる地方財政
1.5 赤字地方団体、財政再建団体
1.6 悪化する個々の団体の財政状況
2
急激な高齢化の進行----------------------------------------------------------------------------------P12
2.1 世界に例を見ない急激な高齢化
2.2.急激に減少する生産年齢人口
2.3 若年労働力人口の減少
2.4 団塊の世代の高齢化
U 地方自治をめぐる最近の動向---------------------------------------------------------------------P.16
1 地方分権改革の動向----------------------------------------------------------------------------------P.16
1.1.地方分権改革の経緯
1.2 第1次地方分権改革の成果
1)
機関委任事務制度の廃止 分権推進本部
2) 国の関与の見直し
3) 権限移譲の推進
4)国庫補助負担金の整理合理化と地方税財源の充実確保
5)地方税財源の充実確保
1.3 三位一体改革の動向
1)片山試案 平成14年5月21日
2)「経済財政運営と構造改革に関する基本方針 2003」(抄)
2 市町村合併の動向------------------------------------------------------------------------------------P.34
2.1 全国の法定協議会への参加状況
2.2 高齢化の進展と小規模市町村の増加
2.3 基礎的自治体の今後
V 地方政府を取り巻く「公共空間」の変化と政策形成--------------------------------------P.44
1 住民に対する情報公開-------------------------------------------------------------------------------P.44
1.1 情報公開条例(要綱等)の制定状況
1.2 行政機関の保有する情報の公開に関する法律
2 行政評価-------------------------------------------------------------------------------------------------P.47
2.1 地方公共団体の行政評価導入状況の推移
2.2 行政評価の意義
3 住民自治-------------------------------------------------------------------------------------------------P.50
3.1 直接民主制
3.2 直接請求制度
3.3
住民投票
4
電子政府-------------------------------------------------------------------------------------------------P.53
4.1 電子政府・電子自治体に向けての国の取組
4.2 e-Japan 重点計画
4.3 総合行政ネットワーク(LGWAN)
T 地方自治をめぐる厳しい状況
1 破綻した国・地方の財政
1.1 一向に改善されないわが国の財政赤字
国及び地方の財政赤字の対GDP比を見ると、他の主要先進国は、財政の健全化に取り組み、着実にその改善がなされているが、我が国については、一向に改善されていない。
|
|
(GDP比、%) |
(暦 年) |
1990 |
1991 |
1992 |
1993 |
1994 |
1995 |
1996 |
1997 |
1998 |
1999 |
2000 |
2001 |
2002 |
2003 |
日 本 |
▲1.4 |
▲0.8 |
▲1.7 |
▲4.7 |
▲5.7 |
▲6.6 |
▲6.8 |
▲5.5 |
▲6.8 |
▲8.2 |
▲7.9 |
▲6.2 |
▲7.2 |
▲7.7 |
米 国 |
▲5.4 |
▲5.9 |
▲6.7 |
▲5.7 |
▲4.5 |
▲3.9 |
▲3.1 |
▲2.0 |
▲0.9 |
▲0.7 |
▲0.1 |
▲2.1 |
▲5.0 |
▲6.1 |
英 国 |
▲1.6 |
▲3.1 |
▲6.4 |
▲7.9 |
▲6.7 |
▲5.8 |
▲4.4 |
▲2.2 |
0.2 |
1.1 |
3.9 |
0.8 |
▲1.3 |
▲1.9 |
ド イ ツ |
▲2.0 |
▲2.9 |
▲2.6 |
▲3.1 |
▲2.4 |
▲3.3 |
▲3.4 |
▲2.7 |
▲2.2 |
▲1.5 |
1.1 |
▲2.8 |
▲3.6 |
▲3.7 |
フランス |
▲2.1 |
▲2.4 |
▲4.2 |
▲6.0 |
▲5.5 |
▲5.5 |
▲4.1 |
▲3.0 |
▲2.7 |
▲1.8 |
▲1.4 |
▲1.5 |
▲3.2 |
▲3.6 |
イタリア |
▲11.8 |
▲11.7 |
▲10.7 |
▲10.3 |
▲9.3 |
▲7.6 |
▲7.1 |
▲2.7 |
▲3.1 |
▲1.8 |
▲0.7 |
▲2.7 |
▲2.5 |
▲2.4 |
カ ナ ダ |
▲5.9 |
▲8.4 |
▲9.1 |
▲8.7 |
▲6.7 |
▲5.3 |
▲2.8 |
0.2 |
0.1 |
1.7 |
3.1 |
1.8 |
1.3 |
1.1 |
※出典: |
OECD/エコノミック・アウトルック〔73号(2003年6月)〕。計数はSNAベース、一般政府。ただし、修正積立方式の年金制度を有する日本及び米国は、実質的に将来の債務と考えられる社会保障基金を除いた値。仮にこれを含めれば、以下のとおり。 |
|
1990 |
1991 |
1992 |
1993 |
1994 |
1995 |
1996 |
1997 |
1998 |
1999 |
2000 |
2001 |
2002 |
2003 |
日 本 |
2.0 |
1.8 |
0.8 |
▲2.4 |
▲3.7 |
▲4.7 |
▲5.0 |
▲3.8 |
▲5.5 |
▲7.2 |
▲7.4 |
▲6.1 |
▲7.1 |
▲7.7 |
米 国 |
▲4.3 |
▲5.0 |
▲5.9 |
▲5.0 |
▲3.6 |
▲3.1 |
▲2.2 |
▲0.9 |
0.3 |
0.7 |
1.4 |
▲0.5 |
▲3.4 |
▲4.6 |
※ |
日本政府推計による中央政府及び地方政府の財政収支の対GDP比(年度、SNAベース)は、2002年度▲7.7%程度(補正後)、2003年度▲8.1%程度 |
1.2 主要先進国中最悪の債務残高
国及び地方の債務残高の対GDP比でも、他の主要先進国は、着実に財政の健全化を進め、横ばい又は減少させているが、我が国については、急速に悪化しており、主要先進国中最悪。
(暦 年) |
1990 |
1991 |
1992 |
1993 |
1994 |
1995 |
1996 |
1997 |
1998 |
1999 |
2000 |
2001 |
2002 |
2003 |
日 本 |
68.3 |
64.5 |
68.4 |
74.3 |
79.3 |
86.6 |
93.9 |
99.9 |
111.2 |
124.9 |
133.0 |
141.5 |
147.2 |
155.7 |
米 国 |
66.6 |
71.4 |
74.0 |
75.6 |
74.8 |
74.2 |
73.5 |
70.8 |
67.6 |
64.5 |
58.8 |
58.9 |
61.0 |
63.8 |
英 国 |
44.4 |
44.3 |
49.2 |
58.1 |
55.8 |
60.6 |
60.1 |
60.5 |
61.5 |
56.3 |
51.5 |
50.4 |
50.3 |
51.1 |
ド イ ツ |
41.5 |
38.8 |
41.8 |
47.4 |
47.9 |
57.1 |
60.3 |
61.8 |
63.2 |
61.2 |
60.5 |
60.2 |
62.4 |
64.9 |
フランス |
39.5 |
40.3 |
44.7 |
51.6 |
55.3 |
62.9 |
66.5 |
68.2 |
70.4 |
66.2 |
65.4 |
65.0 |
67.1 |
69.6 |
イタリア |
112.8 |
116.8 |
126.3 |
128.2 |
134.8 |
133.9 |
136.0 |
133.3 |
133.5 |
128.0 |
124.3 |
121.7 |
121.2 |
120.1 |
カ ナ ダ |
75.1 |
82.8 |
90.9 |
96.2 |
97.2 |
99.9 |
99.2 |
97.5 |
94.3 |
92.5 |
83.3 |
83.2 |
80.4 |
77.3 |
1.3
国及び地方の長期債務残高
平成15年度末の国及び地方の長期債務残高、686兆円程度のうち、地方は、約200兆円。
1.4 多額の収入不足にみまわれる地方財政
地方財政は、この数年、毎年10数兆円を超える財源不足
|
通常収支 |
恒久的な減税分等(注) |
先行減税分 |
平成15年度当初 |
13.4兆円 |
3.2兆円 |
0.7兆円 |
平成14年度当初 |
10.7兆円 |
3.5兆円 |
― |
平成13年度当初 |
10.6兆円 |
3.4兆円 |
― |
平成12年度当初 |
9.9兆円 |
3.5兆円 |
― |
平成11年度当初 |
10.4兆円 |
2.7兆円 |
― |
平成10年度当初 |
4.6兆円 |
0.8兆円 |
― |
平成9年度当初 |
4.7兆円 |
1.2兆円 |
― |
平成15年度当初―――地方債依存度 17.5% 臨時財政対策債等地方債の増発
(注)平成10年度当初は減税分、平成9年度当初は地方消費税未平年度化分。
(参考)
1.5 赤字地方団体、財政再建団体
実質収支が赤字の団体は、都道府県1団体(大阪府)、市町村25団体の合計26団体(13年度決算)。
【
【
【
【
【
【
【
(参考) 財政再建団体
・ 赤字が大幅に膨らんで自主再建が困難になった自治体を再建するため、総務省(前自治省)が地方財政再建促進特別措置法に基づいて指定する団体。「準用財政再建団体」が正式名称。
・ 標準財政規模に対し、市町村は20%、都道府県は5%以上の赤字が指定の目安。
・
平成13年12月まで、全国で唯一の再建団体として残っていたのが福岡県赤池町。戦後復興に大きな財政負担を強いられ、1952年(昭27)には、全国の4分の1に当たる2632団体が赤字に転落。この事態をうけて1955年(昭30)地方財政対策だけを審議する異例の臨時国会が開かれ、地方財政再建特別措置法が制定された。この法による指定を受けると一定の財政措置が受けられる代わりに、国の管理下で、起債制限、徹底した行革が行われる。1957年(昭32)には指定団体は573に及んだが、現在はゼロ。
1.6 悪化する個々の団体の財政状況
地方団体の財政構造を判断する各指標がいずれも悪化。
(全地方団体合計) 平成4年度 平成13年度
・経常収支比率 74.8% → 87.5%(+12.7)
・公債費負担比率 11.2% → 18.4%(+ 7.2)
・起債制限比率 9.1% → 11.6%(+ 2.5)
(参考)
○ 経常収支比率
地方税、普通交付税のように使途が特定されておらず、毎年度経常的に収入される財源のうち、人件費、扶助費、公債費のように毎年度経常的に支出される経費に充当されたものが占める割合。
○ 公債費負担比率
公債費(地方債の元利償還金及び一時借入金利子の合計額)に充てられた一般財源の一般財源総額に対する割合
○ 起債制限比率
地方税、普通交付税のように使途が特定されておらず、毎年度経常的に収入される財源のうち、公債費(普通交付税が措置されるものを除く)に充当されたものの占める割合。
(以上、総務省、財務省のホームページ等より作成)
2 急激な高齢化の進行
2.1 世界に例を見ない急激な高齢化
我が国の65歳以上の人口の総人口に占める割合は、1965年から1995年までの30年間に8.2ポイント上昇。更に1995年から2025年までの30年間は14.2ポイント上昇の見込み。
● 人口ピラミッドの変化 |
|
2.2.急激に減少する生産年齢人口 我が国の生産年齢人口は、2002年には約8570万人、2015年には約7730万人、2025年には7233万人と、急激に減少していく見通し。 (我が国の生産年齢人口の推移)
(以上は、今後の高齢者雇用対策に関する研究会「今後の高齢者雇用対策について〜雇用と年金との接続を目指して〜」平成15年7月により作成) |
U 地方自治をめぐる最近の動向
1 地方分権改革の動向
1.1.地方分権改革の経緯
平成5年 6月 3日 地方分権の推進に関する決議(衆議院)
4日 地方分権の推進に関する決議(参議院)
10月27日 第3次行革審最終答申【「規制緩和」と「地方分権」に重点】
6年 9月26日 地方分権の推進に関する意見書(地方六団体)
11月22日 地方分権の推進に関する答申(第24次地方制度調査会)
12月25日 地方分権の推進に関する大綱方針(閣議決定)
7年 5月15日 地方分権推進法成立
19日 地方分権推進法公布
7月 3日 地方分権推進法施行
〃 地方分権推進委員会発足
8月10日 地方分権推進本部設置(地方六団体)
8年
3月29日 地方分権推進委員会中間報告
・ 地方分権推進の趣意
・ 国と地方の新しい関係
・ 地方公共団体における行政体制等の整備 等
12月20日 地方分権推進委員会第1次勧告
・ 機関委任事務制度の廃止と従前の機関委任事務の取扱い
・ 国と地方公共団体の関係ルール(国の関与の一般原則と類型)
・ 個別行政分野での権限委譲 等
〃
国庫補助負担金・税財源に関する中間とりまとめ
9年 7月 8日 地方分権推進委員会第2次勧告
・ 機関委任事務制度の廃止に伴う従前の機関委任事務の取扱い
・ 国と地方公共団体の関係ルール(国の関与の手続等)
・ 必置規制・地方出先機関
・ 国庫補助負担金・税財源
・ 都道府県と市町村の新しい関係
・ 地方公共団体の行政体制 等
9月 2日 地方分権推進委員会第3次勧告
・ 地方事務官
・ 事務区分(駐留軍用地特措法等)
10月 9日 地方分権推進委員会第4次勧告
・ 機関委任事務制度の廃止に伴う従前の機関委任事務の取扱い
・ 国の関与の基準と従前の団体(委任)事務の取扱い
・ 国と地方公共団体の関係ルール(係争処理の仕組み)
・ 市町村の規模等に応じた権限委譲
10年
5月29日 地方分権推進計画閣議決定
11月19日 地方分権推進委員会第5次勧告
・ 公共事業のあり方の見直し
・ 非公共事業等のあり方の見直し
・ 国が策定又は関与する各種開発・整備計画の見直し
11年 3月26日 第2次地方分権推進計画閣議決定
〃 地方分権の推進を図るための関係法律の整備等に関する法律(地方分権一括法)案閣議決定
7月 8日 地方分権一括法成立
16日 地方分権一括法公布
12年 4月 1日 地方分権一括法施行(原則)
5月12日 地方分権推進法の一部を改正する法律成立
・ 有効期間の1年延長
・ 中央省庁等改革に伴う所要の改正
19日 地方分権推進法の一部を改正する法律公布施行
8月 8日 地方分権推進委員会意見
・ 国庫補助負担金の整理合理化と当面の地方税財源の充実確保策
・ 法令における条例・規則への委任のあり方
・ 個別法に関する諸点
11月27日 地方分権推進委員会意見
・ 市町村合併の意義
・ 市町村合併の効果
・ 市町村合併の推進方策
13年 6月14日 地方分権推進委員会最終報告
・ 第1次地方分権改革を回顧して
・ 第1次分権改革の完全実施を求めて
・ 第2次分権改革の始動に向けて
・ 分権改革の更なる飛躍を展望して
7月 2日 地方分権推進委員会解散(地方分権推進法失効による期間終了)
3日 内閣府本府組織令の一部を改正する政令公布施行
〃 地方分権改革推進会議令公布施行
〃 地方分権改革推進会議発足
12月12日 地方分権改革推進会議「中間論点整理」
・ 事務事業の見直しに当たっての基本的な考え方
・ 事務事業の分野別の論点整理
・ 事務事業の見直しに当たっての当面の指針
・ 行政体制整備 等
14年 6月17日 地方分権改革推進会議「事務・事業の在り方に関する中間報告」
・ 地方分権改革の基本的考え方
・ 事務事業の分野別の基本的な見直し方針
・ (別表)国と地方の事務事業の見直しに関する諸課題
6月25日 「経済財政運営と構造改革に関する基本方針2002」(閣議決定)
国と地方の関係について(総理指示)
10月30日 地方分権改革推進会議「事務・事業の在り方に関する意見」
12月24日 「国と地方に係る経済財政運営と構造改革に関する基本方針」閣議報告
15年 5月 7日 地方分権改革推進会議「事務・事業の在り方に関する意見」のフォローアップ結果総理報告
5月23日 第27次地方制度調査会「地方税財政のあり方についての意見-地方分権推進のための三位一体改革の進め方について-」
6月 6日 地方分権改革推進会議「三位一体の改革についての意見」
6月 9日 財政制度等審議会「平成16年度予算編成の基本的考え方について」
6月11日 地方財政審議会「地方税財政制度改革(三位一体の改革)に関する意見」
6月27日 「経済財政運営と構造改革に関する基本方針2003」(閣議決定)
(注) 「地方分権推進計画」及び「第2次地方分権推進計画」は、地方分権推進委員会勧告を最大限尊重し、具体的な施策を実施することとして、政府において作成された。
・ 「地方分権推進計画」は、第1次勧告から第4次勧告に対応
・ 「第2次地方分権推進計画」は、第5次勧告に対応
1.2 第1次地方分権改革の成果
1) 機関委任事務制度の廃止
公共事務 |
|
|
|
自治事務 |
機関委任事務※1 |
|
存続する事務 |
|
自治事務 (298) ※1 54.7%
|
|
法定受託事務 (247)※1 45.3%
|
|||
|
国の直接執行事務(51)※2
|
|
|
|
|
事務自体の廃止(40)※2
|
(注) |
|
|
機関委任事務 |
|
自治事務 |
法定受託事務 |
条例制定権 |
不可 |
|
法令に反しない限り可 |
法令に反しない限り可 |
地方議会の権限 |
|
|
原則及ぶ (地方労働委員会及び収用委員会の権限に属するものに限り対象外) |
原則及ぶ (国の安全、個人の秘密に係るもの及び収用委員会の権限に属するものは対象外) |
監査委員の権限 |
地方自治法施行令で定める一定の事務は対象外 |
|
||
行政不服審査 |
一般的に、国等への審査請求が可 |
|
原則国等への審査請求は不可 |
原則国等への審査請求が可 |
国等の関与 |
包括的指揮監督権 |
|
関与の新たなルール |
・ 地方事務官が担っている事務は国の直接執行事務とし、地方事務官を厚生事務官、労働事務官とする。
社会保険関係 |
社会保険徴収事務、社会保険事務所の指導監督等に従事(約16,500人) |
職業安定関係 |
公共職業安定所の指導監督等に従事(約2,200人) |
分権推進本部
2) 国の関与の見直し
* 国の関与の一般原則
法定主義の原則 |
|
一般法主義の原則 |
|
公正・透明の原則 |
|
事務の区分 |
関与の基本類型 |
自治事務 |
|
法定受託事務 |
|
書面主義の原則 |
国の行政機関は、地方公共団体に対し、是正の要求、指示その他これに類する行為をするときは、同時に内容及び理由を記載した書面を交付しなければならない。 |
手続の公正・透明性の確保 |
許認可等の基準の設定・公表、不利益取扱いの禁止 |
事務処理の迅速性の確保 |
許認可等の標準処理期間の設定等 |
* 国の関与に関する係争処理の仕組み(国地方係争処理委員会の設置)
( 国地方係争処理委員会をめぐる動き )
・ 平成12年4月1日、国地方係争処理委員会が発足した。
委 員 |
塩野 宏 東亜大学通信制大学院教授 |
・ 平成12年4月17日、同委員会は初会合を開き、委員長に塩野宏氏を選出した。
旧制度 |
団体事務 (公共事務・団体委任事務・行政事務) |
機関委任事務 |
※ その他個別法に基づく関与 |
※ その他個別法に基づく関与 |
|
|
|
|
新制度 |
自治事務 |
法定受託事務 |
関与の基本類型
※ その他個別法に基づく関与 示 一 定の場合に限定 |
関与の基本類型
※ その他個別法に基づく関与 |
(注) 太字は、地方自治法に一般的な根拠規定が置かれている関与であり、直接、同法に基づき行うことができるもの。
* 必置規制の見直し
(必置規制)
国が地方公共団体に対し、法令や法令に基づかない補助要綱等により、
を必ず置かなければならないことなどを義務付けていることをいう。
(廃止・緩和後の対応)
地方公共団体に求められる行政サービスの提供ができるような組織体制づくりに努めていくことが必要になる。
(具体例)
職員の資格・職名及び職員配置基準の緩和・弾力化 |
|
行政機関・組織・施設の設置の緩和・弾力化 |
|
審議会等附属機関の設置の緩和・弾力化 |
|
3) 権限移譲の推進
都道府県へ |
・ 重要流域以外の流域内に存する民有林に係る保安林の指定・解除等 ・ 国定公園の特別地域の指定等 |
市町村の規模に応じた権限移譲
|
○ 政令指定都市へ ○ 中核市へ ○ 特例市[人口20万人以上の市]へ ○ 市[一部福祉事務所設置町村を含む]へ ○ 市町村へ ○ その他(建築主事を置く市町村へ) |
4)国庫補助負担金の整理合理化と地方税財源の充実確保
国庫負担金 |
|
概ね10年ごとに社会経済情勢等を踏まえた基本的な見直し |
国庫補助金 |
|
補助率3分の1未満のもの、創設後一定期間経過したもの及び零細補助金の原則廃止又は一般財源化 |
|
原則サンセット方式の導入(5年の終期設定) |
|
|
削減計画の策定 |
※ 国庫負担金 国と地方公共団体相互の利害に関係のある事務について国が義務的に支出すべき給付金
※ 国庫補助金 奨励的・財政援助的意図に基づいて国から支出される給付金
地方税 |
|
○ 地方税の充実確保
|
|
○ 課税自主権の尊重(地方分権一括法で規定)
|
|
地方交付税 |
|
○ 算定方法の簡素化
|
|
○ 地方団体の意見申出制度の創設(地方分権一括法で規定) |
|
地方債 |
|
○ 地方債許可制度の廃止(事前協議制)(地方分権一括法で規定) |
(以上、地方6団体 地方分権推進本部ホームページ等より作成)地方
1.3 三位一体改革の動向
1) 片山試案 平成14年5月21日
「地方財政の構造改革と税源移譲について」第13回経済財政諮問会議
2) 「経済財政運営と構造改革に関する基本方針 2003」(抄)
平成15年6月27日閣議決定
「 第2部.構造改革への具体的な取組
6.「国と地方」の改革
―――「三位一体の改革」を推進し、地方が決定すべきことは地方が自ら決定するという地方自治の本来の姿の実現に向け改革。
【改革のポイント】
「官から民へ」、「国から地方へ」の考え方の下、地方の権限と責任を大幅に拡大し、国と地方の明確な役割分担に基づいた自主・自立の地域社会からなる地方分権型の新しい行政システムを構築していく必要がある。このため、事務事業及び国庫補助負担事業のあり方の抜本的な見直しに取り組むとともに、地方分権の理念に沿って、国の関与を縮小し、税源移譲等により地方税の充実を図ることで、歳入・歳出両面での地方の自由度を高める。
これにより、受益と負担の関係を明確化し、地方が自らの支出を自らの権限、責任、財源で賄う割合を増やし、真に住民に必要な行政サービスを地方自らの責任で自主的、効率的に選択する幅を拡大する。
同時に、行政の効率化、歳出の縮減・合理化をはじめとする国・地方を通じた行財政改革を強力かつ一体的に進め、行財政システムを持続可能なものへと変革していくなど、「効率的で小さな政府」を実現する。
(1)
三位一体の改革によって達成されるべき「望ましい姿」
@ 地方の一般財源の割合の引上げ
地方税の充実確保を図るとともに、社会保障関係費の抑制に努めるなど、地方財政における国庫補助負担金への依存を抑制することにより、地方の一般財源(地方税、地方譲与税、地方特例交付金及び地方交付税)の割合を着実に引き上げる。
なお、その際、国・地方の財政事情を踏まえるとともに、歳出の徹底した縮減・合理化に努める。
A 地方税の充実、交付税への依存の引下げ
税源移譲等による地方税の充実確保、地方歳出の徹底した見直しによる交付税総額の抑制等により、地方の一般財源に占める地方税の割合を過去の動向も踏まえつつ着実に引き上げ、地方交付税への依存を低下させる。この結果、不交付団体(市町村)の人口の割合を大幅に高めることを目指す。
また、課税自主権の拡大を図ることにより、地方団体や住民の自立意識の更なる向上を目指していく。
B 効率的で小さな政府の実現
「改革と展望」の方針に沿って歳出構造改革を行うことに加え、「三位一体の改革」により、真に地方にとって効果・効率の高い選択を行うことを可能にすることを通じて、「効率的で小さな政府」を実現する。
地方財政においては、現在、約17
兆円を上回る財源不足が生じている。国・地方を通じた歳出の徹底的な見直しを行うなど財政健全化を図ることにより、プライマリーバランスを黒字化し、更に地方財源不足を解消することを目指す。
(2)
三位一体の改革の具体的な改革工程
@ 国庫補助負担金の改革
地方の権限と責任を大幅に拡大するとともに、国・地方を通じた行政のスリム化を図る観点から、「自助と自律」にふさわしい国と地方の役割分担に応じた事務事業及び国庫補助負担金のあり方の抜本的な見直しを行う。
このため、「改革と展望」の期間(当初策定時の期間で平成18 年度までをいう。以下、「6.『国と地方』の改革」において同じ。)において、別紙2の「国庫補助負担金等整理合理化方針」に掲げる措置及びスケジュールに基づき、事務事業の徹底的な見直しを行いつつ、国庫補助負担金については、広範な検討を更に進め、概ね4兆円程度を目途に廃止、縮減等の改革を行う。その際、国・地方を通じた行財政の効率化・合理化を強力に進めることにより、公共事業関係の国庫補助負担金等についても改革する。
A 地方交付税の改革
地方交付税の財源保障機能については、その全般を見直し、「改革と展望」の期間中に縮小していく。他方、必要な行政水準について国民的合意を図りつつ地域間の財政力格差を調整することはなお必要である。
また、国・地方を通じた歳出の縮減、必要な公共サービスを支える安定的な歳入構造の構築等を通じて、早期に地方財源不足を解消し、その後は、交付税への依存体質から脱却し、真の地方財政の自立を目指す。
このような観点から、次のとおり取り組む。
(@) 国の歳出の徹底的な見直しと歩調を合わせつつ、「改革と展望」の期間中に、以下のような措置等により、地方財政計画の歳出を徹底的に見直す。これにより、地方交付税総額を抑制し、財源保障機能を縮小していく。この場合、歳入・歳出の両面における地方団体の自助努力を促していくことを進める。
・ 国庫補助負担金の廃止、縮減による補助事業の抑制
・ 地方財政計画計上人員を4万人以上純減
・ 投資的経費(単独)を平成2〜3年度の水準を目安に抑制
・ 一般行政経費等(単独)を現在の水準以下に抑制
(A) 国の関与の廃止・縮小に対応した算定方法の簡素化及び段階補正の見直しを更に進めていく。また、基準財政需要額に対する地方債元利償還金の後年度算入措置を各事業の性格に応じて見直す。同時に、地方債に対する市場の評価がより機能するように取り組んでいく。
(B) 現在、9割以上の地方団体が地方交付税の交付団体となっているが、三位一体の改革を進めることを通じ、不交付団体(市町村)の人口の割合を大幅に高めていく。
(C) 税源移譲を含む税源配分の見直し等の地方税の充実に対応して、財政力格差の調整の必要性が高まるので、実態を踏まえつつ、それへの適切な対応を図る。
B 税源移譲を含む税源配分の見直し
「改革と展望」の期間中に、廃止する国庫補助負担金の対象事業の中で引き続き地方
が主体となって実施する必要のあるものについては、税源移譲する。その際、税源移譲は基幹税の充実を基本に行う。税源移譲に当たっては、個別事業の見直し・精査を行い、補助金の性格等を勘案しつつ8割程度を目安として移譲し、義務的な事業については徹底的な効率化を図った上でその所要の全額を移譲する。あわせて、「18 年度までに必要な税制上の措置を判断」して、その一環として地方税の充実を図る。なお、必要な場合、地方の財政運営に支障を生じることのないよう暫定的に財源措置を講ずるものとする。
15 年度の義務教育費国庫負担金等の削減分についても併せて対応する。
また、地方が納税者の理解を得ながら、課税自主権を活用して地方税の充実確保を図ることは重要な課題であり、課税自主権の拡大を図る。
こうした三位一体の取組により、地方歳出の見直しと併せ、地方における歳出規模と地方税収入との乖離をできるだけ縮小するという観点に立って、地方への税源配分の割合を高める。その際、応益性や負担分任性という地方税の性格を踏まえ、自主的な課税が行いやすいという点にも配意し、基幹税の充実を基本に、税源の偏在性が少なく税収の安定性を備えた地方税体系を構築する。
上記の諸施策について、フォローアップ(追跡調査)を行いつつ、三位一体の改革を強力に推進する。また、改革を円滑に実現するため、15 年度予算における取組
の上に立って、来年度予算の中で改革を着実に進める。 」
2 市町村合併の動向
2.1 全国の法定協議会への参加状況
|
45道府県1,574市町村(395協議会) (平成15年9月24日現在)
(急増した設置数)
(県別設置割合)
2.2 高齢化の進展と小規模市町村の増加
(参考1) 市町村数の変遷と明治・昭和の大合併の特徴
年月 |
市 |
町 |
村 |
計 |
備考 |
明治21年 |
− |
(71,314) |
71,314 |
|
|
「明治の大合併」 |
|||||
|
39 |
(15,820) |
15,859 |
市制町村制施行(明治22年4月1日) |
|
大正11年 |
91 |
1,242 |
10,982 |
12,315 |
|
昭和20年10月 |
205 |
1,797 |
8,518 |
10,520 |
|
昭和22年 8月 |
210 |
1,784 |
8,511 |
10,505 |
地方自治法施行 |
|
286 |
1,966 |
7,616 |
9,868 |
町村合併促進法施行 |
「昭和の大合併」 |
|||||
|
495 |
1,870 |
2,303 |
4,668 |
新市町村建設促進法施行 |
|
560 |
2,005 |
827 |
3,392 |
市町村の合併の特例に関する法律施行 |
|
671 |
1,990 |
568 |
3,229 |
地方分権の推進を図るための関係法律の整備等に関する法律一部施行 |
|
677 |
1,961 |
552 |
3,190 |
1日に宮城県加美町はじめ11市町が合併により誕生 |
(総務省ホームページ資料より作成。)
(参考2) 昭和60年度以降の合併の状況
合併年月日 |
新市町村名 |
合併関係市町村名 |
合併形態 |
昭和62年 4月 1日 |
藤橋村(岐阜県) |
藤橋村、徳山村 |
編入 |
昭和62年11月 1日 |
仙台市(宮城県) |
仙台市、宮城町 |
編入 |
昭和62年11月30日 |
つくば市(茨城県) |
桜村、谷田部町、豊里町、大穂町 |
新設 |
昭和63年 1月31日 |
つくば市(茨城県) |
つくば市、筑波町 |
編入 |
昭和63年 3月 1日 |
仙台市(宮城県) |
仙台市、泉市 |
編入 |
昭和63年 3月 1日 |
仙台市(宮城県) |
仙台市、秋保町 |
編入 |
平成 3年 2月 1日 |
熊本市(熊本県) |
熊本市、北部町 |
編入 |
平成 3年 2月 1日 |
熊本市(熊本県) |
熊本市、河内町 |
編入 |
平成 3年 2月 1日 |
熊本市(熊本県) |
熊本市、飽田町 |
編入 |
平成 3年 2月 1日 |
熊本市(熊本県) |
熊本市、天明町 |
編入 |
平成 3年 4月 1日 |
北上市(岩手県) |
北上市、和賀町、江釣子村 |
新設 |
平成 3年 5月 1日 |
浜松市(静岡県) |
浜松市、可美村 |
編入 |
平成 4年 3月 3日 |
水戸市(茨城県) |
水戸市、常澄村 |
編入 |
平成 4年 4月 1日 |
盛岡市(岩手県) |
盛岡市、都南村 |
編入 |
平成 5年 7月 1日 |
飯田市(長野県) |
飯田市、上郷町 |
編入 |
平成 6年11月 1日 |
ひたちなか市(茨城県) |
勝田市、那珂湊市 |
新設 |
平成 7年 9月 1日 |
鹿嶋市(茨城県) |
鹿島町、大野村 |
編入 |
平成 7年 9月 1日 |
あきる野市(東京都) |
秋川市、五日市町 |
新設 |
平成11年 4月 1日 |
篠山市(兵庫県) |
篠山町、西紀町、丹南町、今田町 |
新設 |
平成13年 1月 1日 |
新潟市(新潟県) |
新潟市、黒埼町 |
編入 |
平成13年 1月21日 |
西東京市(東京都) |
田無市、保谷市 |
新設 |
平成13年 4月 1日 |
潮来市(茨城県) |
潮来町、牛堀町 |
編入 |
平成13年 5月 1日 |
さいたま市(埼玉県) |
浦和市、大宮市、与野市 |
新設 |
平成13年11月15日 |
大船渡市(岩手県) |
大船渡市、三陸町 |
編入 |
平成14年 4月 1日 |
さぬき市(香川県) |
津田町、大川町、志度町、寒川町、長尾町 |
新設 |
久米島町(沖縄県) |
仲里村、具志川村 |
新設 |
|
平成14年11月 1日 |
つくば市(茨城県) |
つくば市、茎崎町 |
編入 |
平成15年 2月 3日 |
福山市(広島県) |
福山市、内海町、新市町 |
編入 |
平成15年 3月 1日 |
南部町(山梨県) |
南部町、富沢町 |
新設 |
廿日市市(広島県) |
廿日市市、佐伯町、吉和村 |
編入 |
|
平成15年 4月 1日 |
加美町(宮城県) |
中新田町、小野田町、宮崎町 |
新設 |
神流町(群馬県) |
万場町、中里村 |
新設 |
|
南アルプス市(山梨県) |
八田村、白根町、芦安村、若草町、櫛形町、甲西町 |
新設 |
|
山県市(岐阜県) |
高富町、伊自良村、美山町 |
新設 |
|
静岡市(静岡県) |
静岡市、清水市 |
新設 |
|
呉市(広島県) |
呉市、下蒲刈町 |
編入 |
|
大崎上島町(広島県) |
大崎町、東野町、木江町 |
新設 |
|
東かがわ市(香川県) |
引田町、白鳥町、大内町 |
新設 |
|
新居浜市(愛媛県) |
新居浜市、別子山村 |
編入 |
|
宗像市(福岡県) |
宗像市、玄海町 |
新設 |
|
あさぎり町(熊本県) |
上村、免田町、岡原村、須恵村、深田村 |
新設 |
|
平成15年 4月21日 |
周南市(山口県) |
徳山市、新南陽市、熊毛町、鹿野町 |
新設 |
平成15年 5月 1日 |
瑞穂市(岐阜県) |
穂積町、巣南町 |
新設 |
平成15年 6月 6日 |
野田市(千葉県) |
野田市、関宿町 |
編入 |
平成15年 7月 7日 |
新発田市(新潟県) |
新発田市、豊浦町 |
編入 |
平成15年 8月20日 |
田原市(愛知県) |
田原町、赤羽根町 |
編入 |
平成15年 9月 1日 |
千曲市(長野県) |
更埴市、上山田町、戸倉町 |
新設 |
計 |
|
113 |
編入25 |
全国の市町村数 3,181 (平成15年9月1日現在)
(市 678 町 1,951 村 552)
(参考3)今後の合併予定市町村
平成15年9月1日現在
合併年月日 |
都道府県名 |
新市町村名 |
合併関係市町村名 |
合併形態 |
平成15年11月15日 |
山梨県 |
富士河口湖町 |
河口湖町、勝山村 |
新設 |
平成15年12月1日 |
三重県 |
いなべ市 |
北勢町、員弁町、 |
新設 |
平成16年2月1日 |
岐阜県 |
飛 |
古川町、河合村、 |
新設 |
平成16年3月1日 |
長崎県 |
対馬市 |
厳原町、美津島町、 |
新設 |
平成16年3月1日 |
長崎県 |
壱岐市 |
郷ノ浦町、勝本町 |
新設 |
平成16年3月31日 |
熊本県 |
上天草市 |
大矢野町、松島町、 |
新設 |
平成16年4月1日 |
新潟県 |
阿賀野市 |
安田町、京ケ瀬村 |
新設 |
平成16年8月1日 |
長崎県 |
五島市 |
福江市、富江町 |
新設 |
平成16年8月1日 |
長崎県 |
新上五島町 |
若松町、上五島町 |
新設 |
平成16年10月1日 |
愛媛県 |
愛南町 |
内海村、御荘町 |
新設 |
2.3 基礎的自治体の今後
* 第27次地方制度調査会
「今後の地方自治制度のあり方についての中間報告」(平成15年4月30日)
「(3) 事務配分特例方式の検討
上記のプロセスを経た後においても、基礎的自治体として求められる十分な自治体経営の基盤を備えない市町村等が存在しうる。
このようなケースにおいては、今後の少子高齢化の進展等により、当該市町村が単独で行政サービスを適正に供給し続けていくことが困難となることが予想される。
そのような市町村については、組織機構を簡素化した上で、法令による義務付けのない自治事務は一般的に処理するが、通常の基礎的自治体に法令上義務付けられた事務についてはその一部のみを処理し、都道府県にそれ以外の事務の処理を義務付ける特例的団体の制度の導入について引き続き検討する必要がある。」
V 地方政府を取り巻く「公共空間」の変化と政策形成
1 住民に対する情報公開
1.1 情報公開条例(要綱等)の制定状況
平成15年7月22日 総務省
1 全体の状況
都道府県と市区町村を合わせた地方公共団体全体(3,260団体)では、2,937団体が条例(要綱等)を制定。
前年度(2,669団体)に比べて268団体、約10%増加。
条例(要綱等)の制定率は、90.1%(前年度調査時:81.2%)。
2 都道府県
(1) 執行機関を対象とした条例
全ての都道府県が制定している。
(2) (1)のうち、公安委員会・警察本部長を対象とした条例
全ての都道府県が公安委員会・警察本部長を実施機関に加えている。
(3) 議会を対象とした条例
全ての都道府県が議会を情報公開の対象としている。
そのうち、執行機関の条例で議会を情報公開の対象としているものは30団体、議会を情報公開の対象とした独自の条例を定めているものは17団体である。
<議会独自の情報公開条例を定めている団体>
北海道、岩手県、宮城県、山形県、福島県、茨城県、栃木県、埼玉県、千葉県、東京都、大阪府、兵庫県、鳥取県、岡山県、広島県、香川県、宮崎県
3 市区町村(「別紙」参照)
(1) 執行機関を対象とした条例(要綱等)(未施行分を含む)
市区町村では、2,890団体が条例(要綱等)を制定。
前年度(2,622団体)に比べ268団体、約10%の増加。
市区町村別の制定率は、市99.6%(99.4%)、区100%(100%)、町90.1%(80.0%)、村77.2%(61.2%)。(カッコ内は前年度調査における数値)
(2) 議会を対象とした条例(要綱等)(未施行分を含む)
2,837団体(2,569団体)が議会を情報公開の対象。そのうち、執行機関の条例において議会を対象としているものは2,788団体(2,522団体)、議会を情報公開の対象とした独自の条例(要綱等)を定めているものは49団体(47団体)。(カッコ内は前年度調査における数値)
1.2 行政機関の保有する情報の公開に関する法律
平成11年5月14日公布、平成13年4月1日施行
* 情報公開法の特に優れている点
@ 開示請求権制度の対象機関について、すべての行政機関(国会、裁判所を除く
国の機関)を網羅していること(第2条第1項)
A 対象情報の範囲について決裁済み又は供覧済み文書に限定せずいわゆる「組
織共用文書」とするとともに、情報・通信システムの進展をも踏まえ電磁的記録
を含めていること(第2条第2項)
B 開示請求権者の範囲について「何人も」と規定し制限を撤廃していること(第
3条)
C 不開示情報が記録されている場合を除き、行政文書の開示をしなければならな
いとし、原則開示の趣旨を一層明確にしていること(第5条)
また、不開示情報の規定を明確化し、その範囲を従前の一般的な情報公開条例
より限定的なものとしたこと(第5条)
D 従前の一般的な情報公開条例において必ずしも十分でなかった開示請求対象文
書に記載されている第三者の保護を規定したこと(第13条)
E 審査会の調査権限として、不服申立ての対象となっている行政文書を委員が直
接見る権限(インカメラ手続)や、行政文書に記録されている情報を審査会の指
定する方法により分類・整理した資料(ヴォーン・インデックス)の提出を求め
る権限など、強力な権限が与えられていること(第27条第1項、第3項)
F 独立行政法人及び特殊法人の保有する情報の公開について、情報公開法の施行
後2年を目途に法制上の措置を講ずるものとされたこと(第42条附則第2項)
その後、独立行政法人等の保有する情報の公開に関する法律は、平成13年12月5日公布、平成14年10月1日から施行された。
* 情報公開条例の改正
情報公開制度は、昭和57年3月の山形県金山町、同年10月の神奈川県の公文書公開条例制定を端緒に地方自治体が国に先駆けて制度化したものであるがその後、数年を経過した現在、情報公開法の制定を一つの契機に、情報公開条例の改正が行われている。
(以上、「地方分権時代の条例研究会」資料等により作成)
2 行政評価
2.1 地方公共団体の行政評価導入状況の推移
(平成14年度行政評価研究会報告書による)
2.2 行政評価の意義
「 『行政評価』とは「政策、施策及び、事務事業について、成果指標等を用いて有効性又は効率性を評価すること」を念頭においています。
この場合の有効性とは目標に対する達成度合いを示すものであり、効率性とは活動に要したコストの投入度合いを示すものです。
さて『行政評価』は、P L A N ( 計画 ) − D O ( 実践 ) − S E E ( 評価 ) − P L A N 、( 計画 ) − D O ( 実践 ) − SE E ( 評価 )… と循環する行政サイクルの中に位置づけられるものでなければならないと考えます。そこで、便宜上この報告書においては『行政評価』を『行政の現状を認識し、行政課題を発見するためのツール』と定義します。
なお「行政評価」を考える上で、当研究会では、評価対象における目的と手段の関係、を大変重視しており、目的のない手段はあり得ない、あるいは無駄であると考えます。したがって『行政評価』に分類されるものであっても、目的と手段の関係に着目しないものは『行政評価』に値しないと考えます。 」
「・ 「政策」とは、大局的な見地から地方公共団体が目指すべき方向や目的を示すものであり、市町村で言えば概ね基本構想の大きな柱に相当するものです。
・ 「施策」とは「政策」という上位目的を達成するための個々の方策です。ある政、
策は複数の施策によって構成・組織され、その各施策目的が達成されることにより政策が達成されるという必然的な関係が認められるものです。
・ 「事務事業」とは、施策目的を達成するため具体的な手段です。事務事業は、いわゆる予算事業に止まらず、行政が関与しているもの( カネ、人などの行政コストを投入しているもの)です。これには仕事のための仕事( 内部管理的な庶務等) も含まれます。したがって「事務事業」は何かしらの作業を要するものと考えてください。
ある施策は複数の事務事業によって構成・組織され、その各事務事業目的が達成されることにより施策が達成されるという必然的な関係が認められます。
例えば、廃棄物に関する政策体系を考えた場合、ある都市の政策目標を「市内から出る廃棄物による環境負荷の軽減」としますその「環境負荷」の大きさを表す尺度としては最終処分量や最終処分物の安全基準などが考えられますが、最終処分量に着目すると、この政策を達成するための施策目的の一つは「市内で排出される廃棄物を削減」することになります。さらにこの施策目的を達成するための下位手段としては「家庭・事業所での生ゴミ堆肥化促進「包装削減促進「不要品再利用促進」などの事務事業が考えられます。
このように政策、施策、事務事業は目的と目的達成のための手段の関係で連鎖構造をなし、それぞれの関係が有効に機能してはじめて所期の政策目標が達成されます。
「『行政評価』の必要性
地方公共団体は、住民の福祉の増進を図ることを基本として、地域における行政を自主的かつ総合的に実施する役割を広く担うものとされています( 平成1 1年7 月法律第8 7号による改正後の地方自治法第1 条の2 第1 項。つまり、地方公共団体には、住民のために行政を行うことが要請されています。
ところで予算を中心とした行財政運営の中ではどれだけのコスト予算や職員などを投入したのか( インプット )、どれだけのことを行ったのか( アウトプット ) が重視されてきました。従来の事務事業の見直しも予算を中心とした考え方からのものが多かったと思います。しかし、住民の視点からみれば、どれだけの効果をもたらしたのか( アウトカム )が重要なのではないでしょうか。地方公共団体には、目指すべきアウトカムを達成するためにインプットとアウトプットを駆使することが要求されているということができると思います。そのアウトカムを達成するためにインプットとアウトプットが適切に使われているのかチェックするために『行政評価』が有効な手段となるのです。
他方、最近、住民に対する説明責任アカウンタビリティーが求められてきています
住民の信頼を得るためには、行政が何を目指して何をしようとしているのか理解してもらうことが必要です。そのために説明責任が求められているのです。しかし、行政が何を目指して、何をしようとしているのか、現状はどのようになっているのか、行政ができる範囲はどこまでなのかということを行政側が自ら理解しなければ説明することはできません。この説明責任を果たすためにも『行政評価』が非常に有効なのです。 」
(平成11年度行政評価研究会報告書による)
3 住民自治
3.1 直接民主制
3.2 直接請求制度
(以上、地方6団体「『地方分権時代の条例に関する調査研究』の中間まとめU」による。)
1.3
住民投票
16次地方制度調査会「住民の自治意識の向上に資するための方策に関する答申」
(昭和51年6月)
この答申では、住民の自治意識の向上のためにとるべき方策の一つとして、住民投票
制度の拡張を取り上げ「我が国の地方自治制度の基本的な枠組みは、議会及び長による代表民主制であるが、事案によっては住民投票により住民全体の意思を直接確認することが適当なものもあると考えられる」とし、住民投票制度を導入することを検討する必要があるものとして、次の項目を例示している。
・地方公共団体の配置分合
・特定の重大な施策
・事業を実施するために必要となる経費に係る住民の特別の負担
・議会と長との意見が対立している特に重要な案件
4 電子政府
4.1 電子政府・電子自治体に向けての国の取組
1994.08 高度情報通信社会推進本部設置(村山首相)
1994.12 行政情報推進基本計画
1997.12 行政情報推進基本計画の改定(橋本首相)
1999.12 ミレニアム・プロジェクト(小渕首相)
2000.07 IT戦略本部、IT戦略会議設置(森首相)
2000.11 IT基本法成立(2001.01施行)
2001.01 e-Japan戦略
2001.03
e-Japan重点計画
2002.06 e-Japan重点計画-2002
2002.09
各府省情報化統括責任者(C1O)連絡会議設置
2002.12 行政手続きオンライン化関係3法成立
2003.07 e-Japan戦略U
2003.07 電子政府構築計画
2003.08 e-Japan重点計画-2003
(以下、総務省ホームページ等による。)
4.2 e-Japan 重点計画
4.3 総合行政ネットワーク(LGWAN)