自治制度演習 第1セメスター第2クール

「ポーター文書における地方議会改革論についての1考察」

                              平成16618

                         早稲田大学大学院公共経営研究科                                                        

                                   草間 剛

 

<はじめに>

 自治制度演習第1クールレポートにおいて私は、「戦後地方自治法制定下における議会と首長の関係」と題し、GHQ民政局が行った日本国憲法、地方自治法制定時における地方議会改革について触れ、特に昭和23年の地方自治法改正については、前掲レポート4頁において、昭和22年にGHQ民政局府県係長としてアメリカより赴任してきた、ハワード・ポーター(Howard D Porter)が母国オハイオ州の州憲法と自治法を比較しながら行ったと論じた。(注1)そこで本稿では、昭和23年における地方自治法改正を皮切りに、ではそのポーターが比較したオハイオ州の当時の地方議会制度において、首長と議会との政府間関係がどのようになっているのかという事を中心に、考察しようと考えていたところである。

 しかしながら、府県係長として赴任してきたポーターが昭和23年において日本の地方議会制度を本当にオハイオ州の制度と比較しながら、当時の地方自治法を改正したとする根拠ははっきりとしない。筆者が調査した日本人研究者によるGHQ研究資料の中でポーターの地方議会改革を明記してある文献は少なく、僅か「戦後自治史Z」(昭和40年 自治大学校)における記述において、

「ポーター氏は、地方自治法をたんねんに調べ、郷里のオハイオ州のチャーターとか、ホーム・ルール・チャーターと逐一比較研究した。その結果、不満足に思われる部分をピックアップして、その改正案を作った。」(1) 

 と、ポーターの地方自治法改革を記している。この記述後、前掲書においてはポーターが改正案を考えたとされている地方自治法96条の改正条項が記されているが、この記述をそのまま参考として「地方自治のあゆみ」(平成7年 橋本勇) にもポーターの改革に対する同様の記述が存在する。(2)しかしながら、「戦後自治史Z」における記述を参考とする以外に、他の日本人研究者によるGHQ民政局研究、自治史研究文献においてもポーターの存在、乃至はポーターの議会改革を記したものは発見できなかった。

 また、文献資料としてGHQの多数のドキュメントを集積した全15巻からなる「GHQ指令総集成:SCAPIN」1993年 竹前栄治編)に掲載されているGHQドキュメントの中にもポーター作成によるものは無く、多くの研究者がポーターの存在を明確にしない中で、本当にポーターが「戦後自治史Z」に記述された様な改革を行ったのか、またどのような考え方をもって行ったのかは明らかにはなっていない。戦後の地方議会改革において、中枢の役割を担い、現代日本の地方議会の父と称されてもおかしくはないだろう、ポーターの存在自体、「戦後自治史Z」の編集人、今枝信雄氏が既に他界している今日、多くの謎に包まれている。果たして、彼の名を知る地方議会議員はどれだけいるだろうか。

 そこで本稿では、1ヶ月にわたって筆者が収集したポーター関係資料に基づき、「戦後自治史Z」における、ポーターの地方議会改革に関する記述の正しさを、当時の文献をもって確認し、またその文献の中でポーターが考えた地方議会、議員のあり方、地方自治法96条改正の真意を筆者なりに考察していくものとする。

 

<1>       ポーターの存在

 a 公式ドキュメント「地方政府課の移管」

 前述した通り、ポーターをめぐる文献は非常に少ない。またポーターが、正確にはどのような職と任務をもって来日したのかという経緯についても、文献においては詳細が述べられていない。「戦後自治史Z」においては、

「昭和22年にティルトン少佐が地方行政課の課長になると、その下の府県係長にポーター氏が就任した。ポーター氏は、オハイオ州の出身で、議員の経験もあり法律と実務に明るかった。」(3)

と、記述しているが、この件に関してはGHQの公式文書が残っている。1948年(昭和22年)628日付けでマッカーサーの指令において、第八陸軍司令官宛に「Transfer of Local Government Division , Government Section, GHQ, SCAP」という題名の、地方政府課の移管指令文書の中で、ティルトンと共に府県係長として地方政府課の異動が命ぜられている。(4)つまり記載されている内容としては、

“Howard D. Porter     Government Advisor GradeP-6   $9,177.00 pa “

                       (Chief, Prefectual Branch)

 ポーターは政府アドバイザーと称するレベル6のcivilian として、地方政府課府県係長となり、報酬が9177ドルであった事が文書から分かる。この異動指令書は昭和22年6月に作成された物であり、「戦後自治史Z」におけるポーターの日本での地位に関する記述が間違いでなかったことが証明される。ちなみにこの指令書の中において、セシル・ティルトンについては地方政府課のDivision Chief(課長)として、10,000ドルの報酬を以て迎えられた事が記載されている。新しく戦後日本の地方改革を進行することとなるティルトン、ポーターの間には、日本の地方自治改革に対する、熱き思いがあったに違いない。また、ここで注意しなければならないのは、この指令書からはポーターが1948年以前にどこに所属していたかまでは分からない事である。この書簡はマッカーサーの指令により第八陸軍に出されたものであるからして、ポーターが府県係長になる前にGHQ民政局にいた可能性は否定できない。しかしながら、戦後直後のGHQ民政局人事表を見ても、ポーターの名前が無かったことから、1948年次において初めてGHQの管理職の一員として日本の地方自治に関するGHQ任務に就いた可能性が高いと考えられる。

b 鈴木俊一の発言

 ポーターの役割、人物像を裏付けるもう一つの資料が、元東京都知事、鈴木俊一の明治34年5月に行われた「地方自治法昭和二三年改正をめぐる座談会」での発言である。

鈴木曰く

「・・ポーターが初めて地方自治を担当することになったが、彼は向こうで議会の議員をやっていて法律の素養もあり、実際の経験もあった。だいたい司令部の担当官というのは皆地方自治を担当したことのない者ばかりなんだ。(中略)ポーターは(地方自治の勉強、経験)両方持っていた。あの人は六尺四、五寸で、二十七、八貫のすごい大きな男だった・・」

「模範チャーターとか、彼の郷里のオハイオ州のチャーターと比べて、おかしいと思うところをみな書き出していた。そういうところで当事者の趣味もまじりはじめた。初めは荒削りのところでやったが・・」(7)

 この鈴木発言はポーターの改革を裏付けるものとして前掲「戦後自治史Z」で扱われている。次項においてはこの発言の真意を探るべく、ポーター自らの考えを記載した文献を紹介する事とする。

 

<2>       ポーター文書

1.ポーター文書の発見

 早稲田大学図書館、他大学図書館においてポーターによる文書、公式ドキュメントを所蔵していないこと、インターネット検索においても日本版、米国版共に、検索が難しい事から、筆者は国立国会図書館憲政資料室において、ポーターがGHQ民政局地方政府課府県係長として地方自治改革を推進していたとされる、1948年から5年間の1953年までのGHQ/SCAP資料(2)の中から、地方議会に関連する資料を取り寄せ、一枚一枚、マイクロフィルム映写機によって現像し、ポーターの名前を確認していったところ、偶然にも、ポーターの名前で発行されたGHQドキュメントを発見した。それが府県係長としてのポーターの名前で、15頁で構成される文書、「POWERS AND RESPONSIBILITIES OF THE LEGISLATIVE BODY(5)(3)邦訳をして「立法機関における責任と権限」(6)である。

 

2.ポーター文章

 「POWERS AND RESPONSIBILITIES OF THE LEGISLATIVE BODY」は、Supreme Commander for the Allied Powers ,Government Section ,Local Government Division(連合国最高司令官民政局地方政府課)によってdelivered by Howard D Porter という形式で文書化されている。この文書自体に年次、日付の記載はないが、地方政府課の名前で出されている事と、文章中の具体的内容から見て、昭和22年末から昭和23年末にかけて作成されたものと考えられる。文書の内容は、local assembly (地方議会)の権限や地方議員の心得など地方議会全般について書かれた物であるが、英語の文体の中に “because first, many of the people here are assemblyman” “Mr. Chairman and guests, in closing, I desire to quote to you.”などという文章表現があるため、場所は特定できないものの、いずれかの講演会乃至は地方議会などでポーターがスピーチしたものを文書化したものと考えられる。12頁にわたるポーター文書の内容としては、

憲法、地方自治法制定によって強化された議会主導としての官尊民非の打破

自己紹介

地方議会議員のeligibility (被選挙権)及び議会の組織について

地方自治体、地方議会の自治権、条例制定権について(憲法94条、自治法14条)

地方議会の議決事項について(自治法96条改正案)

     自治法100条、98, 121条における、地方議会の調査権について

     地方自治体の債権発行と地方議会の責任について

     その他の地方議会の権限と、地方議会が権力を行使するべきではない事項について

     地方議会議員の心得について

が主なものであり、特に地方議会の議決事項の拡充については31もの事項を掲げ、その事項が地方自治法96条改正につながるポーター独自の見解と捉えられる。またポーターの言葉で初めて自分の過去に触れられている内容もあり、「戦後自治史Z」の論証に迫る内容が多く見られる。そこで以下において、ポーターの言葉による彼自身の経緯、及び自治法96条改正を特に取り上げ、ポーター議会改革説の確証に務めたい。

 

a ポーターはオハイオ州のシステムを参考としていたか

 ポーター文書2頁において、ポーターが(聴衆に?)そのスピーチの経緯を説明する箇所がある。ここでは簡単な英文なので原文で紹介する事とする。

Because of my back ground and training, I am pleased to talk on this subject to you all, because first, many of people here are assemblyman, interested in that general subject and second, the word “assembly” brings back to my memory events of several years ago when I was a member of the General Assembly of the state of Ohio, ・・・I therefore, feel as if I know personally some of the problems and issues that constantly beset you who are members assembly here”

 ここでのポーターの記述は、前述した「戦後自治史Z」、また鈴木発言の中の、ポーターがオハイオ州の経験を基に、日本の制度と比較し問題点を挙げたという記述と同じ内容であり、このポーター文書では、前掲した通り、ポーターの地方議会改革案が記述されていることから、前掲各資料におけるポーターに対するその歴史経緯的記述は正確なものであった事が言える。確かにポーターは郷里オハイオ州の議会経験を生かし、それと比較することで、戦後日本の地方自治システムが抱える問題点を指摘しようとしていたのである。さらに次項ではポーター文書の中の議会の議決権の拡充について触れたもの、いわゆる自治法96条改正案と、「戦後自治史Z」で詳述されている96条改革案とを比較し、各論として、「戦後自治史Z」の記述の正しさを確認する。

b  昭和23年自治法改正による96条の改正とポーター文書との関連性

 昭和23213日にGHQ民政局から発表された「地方自治法改正に関する総司令部案」には議会の議決事件に関する、地方自治法第96条の1部改正案が盛り込まれていた。この改正のイニシアティブを取ったのがポーターとされているが、(8)この議会の議決事項についてはポーター文書においても詳細に述べられていた。(9)ポーターはまず地方自治法14条から、地方自治体の住民に対し、義務を課したり、権利を制限したりする場合には、地方自治体の法である、条例によらなければならない事を強調し、その条例は住民から選ばれた議員によって構成される議会を通さなければいけないとした。いわゆるby-lawの思想である。ポーターは文書の中で31項目もの事例を取り上げたが、本稿ではその中で、昭和222月の総司令部案に記述されている20項目の中から、適宜摘出し、ポーター文書と総司令部案を比較することで、ポーターがこの改正において、イニシアティブをとったことを証明したい。(4)

@ 1項  契約を締結すること。

  1 “To make contracts”

 

A 6項  不法に賦課又は徴収された租税、負担金、免許料及び手数料を払い戻すこと。

  25  “To make refund of moneys paid for legal taxes ,rents,fees,allloted charges, entrance fees or statutory labor and actual articles unlawfully levied or arranged.”

 

B 10項  市場、公園、遊園地、公道、橋梁、隧道、渡船を計画し、取得し、建設し、維持し、運営し、並びに当該事業を売却又は譲渡せしめること。

    3  “To establish, construct, and administer the parks, playgrounds, open spaces, green districts, bridges, rivers, canals, reservoirs, irrigation and drainage waterways and dykes, and to grant right to use them.”(一部14項に移項)

 

C 14項  都市の水源及び送水路を管理すること及びドック、防波堤、埠頭、堰堤、倉庫、航海、通商及び水源地、並びに送水に附属する設備を建設し、維持し、運営し、管理すること。

  4 “To establish, contract and administer docks, moles, piers, wharves, lighthouses, warehouses, sheds and other structures necessary for other sea and land carriage and/or to grant right to use them.”  

 

D 15項  秩序を維持し、法律を施行し、地方公共団体の住民並びに滞在者の保健、厚生、福祉を維持すること並びに営業を統制許可すること。

  7 “To clean, disinfect, beautify, and prevent from noises or to restrain public morals and action profaning cleanliness and besides to administer the matters concerning refinement of safety, health and social welfare.”

    8 “To protect against criminal offenses, to prevent from disasters to make rescue at disasters and to relieve the suffers.”

 

E 17項  病院、診療所、療養所、公衆浴場、慈善院、授産場、感化院、留置所を設置、維持、経営、及び管理すること。貧困者、病人、孤児、不具者(5)精神異常者、酩酊者を救助し、保護又は看護すること並びに生活困窮者の埋葬を準備すること。

  6  “To establish, construct and administer the hospitals, isolation wards, sanitaria, disaffecting stations, lying-in stations, residences, lodgings, dining-halls, baths, public latrines, pawn-shops, workhouses, public nurseries asylum for the aged, almshouses, reformatories, jails, butcheries, dust-disposing stations, dirt-disposing stations, crematories, cemeteries, and other structures concerning safety, health and social welfare.” 

 

 邦文と英文を比較すれば分かるとおり、どの条項も、法文としての英語表現、多少の権利対象の違いはあるものの、大枠として同一内容な法文であることが理解できる。以上掲げた5つの例の他、ポーター文書における殆どの96条改正案は、残りの総司令部案に組み込まれた。例えばDのように、ポーター案の複数が同一の総司令部案に組み込まれたり、Bのように、ポーター案の一個条を分割し総司令部案となったりする素案も存在していることに見られるように、ポーター案がかなりの程度、96条に取り入れられた事が伺える。

 地方自治法96条改正に対するポーターの影響力が大きかったことを裏付ける、補足資料としては、194822日にティルトンにより作成された、GHQ公式ドキュメント、「地方自治法96条改正に関する意見」がある。(10)その文書の内容としては、上記の総司令部案の英語原文であり、総司令部(ティルトンと思われる)の補足説明が入っているものだが、タイプされたものの他に、メモ書きがティルトンのサイン附きで残っている。文書の1枚目、上段に残っていたものだが、そこには、

Note, Porter agreed to make changes, Feb 48”  “Tilton”

と記されていた。つまりこの文書、総司令部案を作成する過程において、ティルトンは何らかの条項の変更、ないしは内容の変更の了承をポーターに求めたのであり、このメモの内容は、当時、ティルトンは役職的にはポーターの上司であったが、この改正案に関してはポーターの組織内でのイニシアティブが働いていたことを示すものである事が言える。

 上記した資料をもとに考えれば、ポーターの思想がGHQの中で主導的に、ほぼ、そのまま総司令部案として採用された事は間違いがない。ここで「戦後自治史Z」におけるポーターの地方自治法96条改正に代表される、地方議会改革の記述は歴史的事実であり、ポーター関連文献の記述の正しさが確認された。

 

<3>       考察

 本稿では、限られた時間の中で、昭和23年の地方自治法改正の中、特に地方議会関連の法案改正に関して、GHQ民政局ハワード・ポーターが、母国アメリカ合衆国、オハイオ州のチャーターや議会システムを日本のものと比較して、議会改革を行っていったという、文献に残る記述の正しさを確認した。結果、「戦後自治史Z」に残る記述は、@ポーターのGHQ民政局内の存在に関しては、鈴木発言、GHQの移管指令書から、Aポーターがオハイオ州の地方自治体系を日本のそれと比較し、問題を摘出していったという点では、鈴木発言、ポーター文書による自らの発言から、Bポーターが昭和23年の地方自治法改正における地方議会改革を主導的に行ったという点は、ポーター文書、総司令部案、また残るメモから、それぞれ筆者なりの裏付けができたと考える。ハワード・ポーターは、事実、昭和23年の地方自治法改正において、GHQ民政局地方政府課府県係長として、自らのオハイオ州の議員経験や、そのオハイオ州のシステムを基に、特に地方議会の改革に関して、主導的な活躍をしていたのであった。

 ポーター文書の中に、ポーターからの地方議員に対する以下のような言葉が残っている。

“ Act for yourselves. Do not be dissuaded by someone who state that what you are proposing is wrong, that it is unconstitutional, that it is not legal or that it is legal. Courts alone state what is legal and what is not legal. The governor and the administrators cannot do this for you nor should their opinions no matter how sincere. Step your action. You cannot be defeated in your purpose by side line yapping and sniping. In other words, please produce, in the last analysis in a democracy. The great issues are settled at the polls in the Bar of Public Opinion.”    この言葉に託されたポーターの願いは、当時から半世紀以上経った現代においても達成できているか、正直微妙なところである。ポーター文書は、現代日本の地方議会の原点である。地方分権改革においても残された地方議会改革、それを担う重要なアクターは、改革派知事でも、法律の解釈ではなく、地方議員1人1人の”delegate”としてではない、住民からの“representative としての意識であると考える。

 尚、本稿で達成できなかった、ポーターがではどのようなオハイオ州のチャーター条項を具体的に地方自治法に組み入れたかという、ポーター文書と1949年以前のオハイオ州チャーターとの比較検証であるが、本稿執筆中にアメリカから資料が届いた事情もあり、是非次の機会で、ポーター文書の全訳と共に発表したい次第である。お忙しい中、資料収集に務めてくれた、State of Indiana, Office of the Attorney General に勤める、友人のTim Junk またアシスタントのMr. Brian Whangには厚く御礼申し上げたい。

 

 

 

 

 

 

(1)  草間レポート 「戦後地方自治法制定下における首長と議会の関係」4 「・・・また前途した地方議会の権利の拡充はティルトン中佐が昭和22年に総司令部地方行政課長になった後、府県係長として赴任してきたポーターにより考えられたものが多いと考えられる。なぜなら彼はオハイオ州で議員の経験もあり、日本の地方自治を自分の郷里のオハイオ州のチャーターや模範チャーターと比較して問題のあるところを抜き出し日本の制度改革を断行したためであり、彼はアメリカの議決機関と執行機関の区別のない地方自治制度を念頭に置いたためではないかと推測される」

 

(2)  GHQ/SCAPとは、General HeadquartersSupreme Commander for the Allied Powers(連合国最高司令官総司令部)の略称です。GHQ/SCAPは、最高司令官以下内部組織は、法務局、民政局、天然資源局、民間情報教育局などに分かれて1952年の占領終結まで我が国の全政策を指揮しました。そしてその実行過程において膨大な量の文書が蓄積されていきました。その内容は、占領管理の基本法令である指令(SCAPIN)から様々な報告書類、最高司令官マッカーサー宛に出された日本人の手紙にいたるまで多種多様なものでした。1952年に占領の終了をむかえたとき、アメリカへいっせいに搬送されたこれらの書類が、GHQ/SCAP文書と呼ばれるものです。現在は、米国国立公文書館(National Archives and Records AdministrationNARA)のメリーランド州にある施設に収蔵されています。
 当館は、1978年からNARAと協力して、このGHQ/SCAP文書をマイクロフィルム化する共同プロジェクトを開始し、1991年、13年の歳月をかけてついに推計3千万ページと言われる膨大な量の資料の収集を完了しました。これらの資料は憲政資料室で利用することが出来ます”  (国立国会図書館 ホームページより)

 

(注3) 「 POWERS AND RESPONSIBILITIES OF THE LEGISLATIVE BODY」を以下、「ポーター文書」とする。

(4)   上段は昭和23223日における地方自治法改正に関する総司令部案による個条、下段はポーター文書によるポーターの改正案。番号は各資料に記載順。

(5)  一部適切でない表現を含むが、原文の通り抽出する事とする。

 


(1)   自治大学校編『戦後自治史Z』 194頁(昭和40年 自治大学校)

(2)      橋本勇『地方自治のあゆみ』 174頁(平成7年 良書普及会)

(3)      前掲『戦後自治史Z』 193,194

(4)      天川昇編『GHQ民政局資料「占領改革」第8巻 地方自治T』 556頁「地方政府課への移管」(平成10年 丸   善)

(5)      国立国会図書館蔵 GHQ/SCAP 資料 請求番号 E.O 11652 SEC.3(e) and 5(d) or (e) NNDG #775 012

(6)      草間意訳

(7)      前掲『戦後自治史Z』 198頁(昭和34515日 自治大学校主催「地方自治法昭和二三年改正をめぐる座 談会」)よりの抜粋

(8)      前掲『戦後自治史Z』 194

(9)      ポーター文書 5,6,7,8

(10)   天川前掲書  408頁「地方自治法96条改正に関する意見」