自治制度演習A(片木ゼミ) 2007年度1セメスター1クール

公共事業の事業者選定段階における市民参加の研究

 

                         2007年5月24日 濱野貴之

 

はじめに(目的と背景)

 公共事業の執行に関する権限の多くは、基本的に事業発注者である国や地方自治体が所管している。しかし近年、施設の計画段階から公募市民を交えて検討を進める自治体や、計画に対するパブリックコメント手続きで民意を反映させるなど、市民参加を得て計画の検討を進める動きも珍しくなくなった。

一方、こうして市民参加によって計画の検討を進めてきた事業も、設計者選定や施工者の入札段階になると市民参加の度合いが低下するケースが多かった。しかし近年、市民参加を得て設計者や施工者を選定する動きも出てきた。ただ、民意の反映手法や位置付けが曖昧だったり、建設分野等の専門家と市民とが同じ審査項目で審査した例もあるなど、審査の適正さ、妥当性に課題も残る。

事業者選定段階での市民参加は、それほど先行事例が多いわけではなく、まだ試行段階だといえる。公共事業分野での市民参加が、これまで段階的に進展してきた事を踏まえれば、市民参加の度合いは、今後、ますます深まっていくことが予想される。しかし現状では、どのような手法で事業者選定段階での市民参加を進めるべきか、明確なルールやガイドラインも存在していない。このため、先行事例に見る市民参加手法にもバラツキがある。

公共事業には、サービスの受け手である市民をはじめ、応札者の民間企業など、数多くのステークホルダーが存在する。入札などの事業者選定段階には、高い透明性や公平性、各利害関係者への説明責任が求められる。

本稿は、こうした視点を踏まえつつ、事業者選定段階での市民参加の現状と課題を明らかにし、改善に向けた制度設計を提案する。

本稿で主に対象とする公共事業は、市民が主なサービスの受け手でありユーザーとなる庁舎や文化施設、図書館、体育館などの公共建築物を想定している。また、事業者選定とは、設計者や施工者、PFI事業者等の入札や選定を対象とする。

 

1.入札参加段階での市民参加の目的、期待される効果

公共事業分野全般での市民参加が進展している背景には、市民による参画意識の高まりや、行政側のパートナーシップ機運の高まりなどがある。市民参加型の設計者・施工者選定に複数関与してきた椎名映夫は、市民参加のメリットを次のように分析している。[1]@様々な段階において住民参加の機会が提供されるAプロセス公開によって、行政不信が懸念される非公開部分が減少するB選定理由が説明され、住民・使用者が建設に向き合うための手がかりとなるC住民が第三者的な立会人となる、など。

椎名が指摘するAやCについては、第三者としての市民の目を介在させることによって、談合や不正行為に対する一定の抑止力として機能することも期待される。このほか、計画・設計・建設・運営という各段階での一貫した市民参加を確保することで、事業に対する合意形成や理解が深まることから、トータルでの事業推進の円滑化が期待できる。

愛知県は、社会資本整備方針建設部門)の中で「事業の必要性に対する地域住民の理解を深め、円滑な事業の執行を実現していくために、事業の各段階における住民意見の反映に努め、完了後の維持管理への住民参加を働きかける」との方針を示している[2]

 

2.事業者選定段階での市民参加の先行事例

ここでは、公共事業の設計者や施工者、PFI事業者の選定過程で「市民参加型」の取り組みを導入した主な先行事例を取り上げる。

 

1)群馬県東村・富弘美術館[3]

「設計者選定住民参加型設計提案競技」「施工者選定住民参加型施工計画提案競技」として、設計者、施工者ともに市民参加を得て、その選定プロセスを公開した。審査は、建築分野などの専門家のみで構成する委員会が担当し、設計者選定では一次審査前に、住民委員会との意見交換を実施した。施工者選定では、一次審査として金額による入札を実施。二次審査に進んだ6社は、「品質と施工に対する問題点の把握と技術提案」「住民参加に向けた取り組み方針と施工計画」「その他自由な提案」などについて公開プレゼンテーションした。

 

2)東京都立川市・新庁舎建設計画[4]

設計者選定では、「立川市新庁舎市民対話型2段階方式」を採用した。一次審査を通過した候補者3者が、それぞれ市民らとワークショップを結成して設計案を作成。最終審査などを公開プレゼンテーションとした。審査は、専門家のみによる委員会。公開プレゼンテーション後に市民委員会との意見交換、候補者へのヒアリングを経て、1者を選定した。今後、施工者選定段階に入るが、入札方式などを検討する「施工者選定手法等検討委員会」には市民委員が参加しており、市民参加型の入札方式を採用する方向で検討が進められている。

 

3)岐阜県下呂市・南飛騨総合健康アリーナ(仮称)[5]

設計者選定のプロポーザル方式では、専門家のほか、市民代表、市職員などで構成する審査委員が審査を担当した。書類審査による一次審査通過者に対し、公開ヒアリングを実施。ヒアリング終了後、各委員が別室で各提案に対する感想を話し合った後、二次審査用紙を用いて最優秀者に○、次席者に△を記入し、あわせて各提案書の感想を記入する方法で投票を行った。選定された設計者は、市民とワークショップを結成し、設計案を作成した。

 

4)神戸市・観光宿泊施設PFI事業「摩耶ロッジ整備等事業」[6]

公募型プロポーザル方式を採用して、設計・建設・運営を担当するPFI事業者を選定した。審査は、法律や金融の専門家、市職員、市民代表委員で構成する審査委員会が担当した。各審査委員は、各審査項目(施設計画、事業計画、収支計画の3分野計17項目)ごとに個別評価を行った。公開プレゼンテーション等は行っていない。このほかPFIでは、福井県鯖江市による「鯖江市ケアハウス整備等PFI事業」[7]をはじめ、同様に市民委員を交えた審査委員会を設置した例がある。

 

5)北海道江別市・「(仮称)市民の暮らし会館整備」(構想段階)[8]

江別市が政府の地域再生本部に提出した地域再生計画によると「計画・建設の各段階において、『市民参加・協働』の地域総力体制で進める必要があり、ハード整備の進め方に関して、本格的な市民参加手法による『検討会』や『フォーラム』を開催する」としている。具体的な対象事業としては、地域交流拠点となる「(仮称)市民の暮らし会館」や、コミュニティの中心となる「中心性のある道路整備」を想定している。

 

3.市民参加のレベル(深度)とその温度差

 事業者選定段階での市民参加の手法や深度は様々だ。市民への情報公開や意見交換にとどめるケースもあれば、市民が審査委員の一員として、選定に直接関与する事業もある。ここでは、市民参加のレベルを整理することで、各発注者間に存在する温度差を浮き彫りにする。

例えば、2.4)で示した江別市の計画に関連して、地元関係者らで組織する「野幌まちづくり協議会」は、市民参加のレベルとして「『アーンスタインの参加の梯子』の6段以上のレベル」を目標として設定している。[9]つまり下図の左上に位置する「住民の力が活かせる住民参加(住民の権利としての参加)」を目指している。

 出典:江別市提出資料

 

一方、原科幸彦[10]は、まちづくり分野等での市民参加レベルを、@情報提供A意見聴取B形だけの応答C意味ある応答Dパートナーシップ――の5段階に整理している。

こうした類型を、事業者選定段階での市民参加に当てはめた場合、市民代表委員などが参加する審査委員会は、より深いレベルでの市民参加を目指したものと考えられる。審査権限の一部を市民に委譲することになるためだ。一方、審査に市民委員を交えず、専門家のみとする場合は、慎重な姿勢と言える。

市民参加を得るか否か、また、どのレベルまでの参加を求めるか、といった点については、基本的に自治体側の判断に委ねられている。もちろん、全ての公共事業に市民参加が馴染むわけではなく、その事業の性格や地域事情などを踏まえて総合的に判断すべきだ。

例えば、群馬県東村・富弘美術館のケースでは「住民代表が正当に審査に参加することは理想だが(中略)現段階ではより現実的な対応」[11]として専門家に限定した委員会を設置した。一方で、江別市のように「地域総力体制で進める必要がある」との判断もある。

このように、自治体側の方針や地域事情などに応じて、市民参加のレベルには差が生じる。もちろん、市民参加のレベルを巡って、その善し悪しを一概に判断できるものでもない。

 

4.課題

先行事例の分析で、自治体が求める市民参加のレベルに温度差が存在することを指摘したが、市民参加型の事業者選定を進めたいという点では共通した志向を持つと言える。ここでは、審査委員会に市民委員が参加する場合と、専門家のみの委員会による場合の2つのケースから、それぞれ課題を考察する。その上で、目指すべき解決策の方向性を探る。

 

1)審査委員会に市民委員が参加する場合

専門家委員に加え、市民委員を交えた審査委員会の場合、専門家の意見に市民委員が流されてしまい、形式的な市民参加となってしまう恐れがある。椎名は、群馬県吉井町役場新庁舎の審査過程について「非専門家委員は、要望を述べるにとどまり、評価においては専門家の意見に従う結果であった」と指摘している。[12]専門家と市民が同じ審査項目で評価を行う場合などに、こうした問題の発生が懸念される。市民委員による期待通りの審査が行われない場合、結果として市民参加レベルが「形だけの応答」に低下してしまう。椎名は「住民参加における審査の独立に対応するシステムをどのように備えるべきか」と問題提起している。

市民委員の数が多い場合などは、逆の現象も想定される。専門家委員による視点が薄くなる反面、市民参加レベルが必要以上に高まってしまう懸念だ。例えば、施工技術面などで優位性に乏しい業者が選定される恐れもあり、審査結果の妥当性に課題が生じる。

つまり、専門家と市民の混在審査では、双方の寄与度を客観的に示すことができず、また、寄与度をあらかじめ設定・管理することが難しい、という課題に集約される。審査結果に関する説明責任という点でも課題が残る。

 

2)審査委員会を専門家委員のみとする場合

庁舎や文化ホール建設などの大規模施設整備については、計画段階から市民参加を得る取り組みが増えた。しかし、入札などの事業者選定段階になると市民参加レベルが低下するケースも多い。こうした場合、「なぜ入札段階だけ関与できないのか」という市民感情につながりかねない。実際、立川市新庁舎建設での「施工者選定手法等検討委員会」の議論では、市民委員から審査への関与を窺う意見が出ている。[13]

民意反映を補完するねらいから、専門家委員会が、審査過程で市民との意見交換を実施するケースもある。意見交換の内容は、専門家が審査の際の「参考」として扱うことが多いが、最終的な審査結果にどこまで反映されるのか、不透明な部分が多い。「参考」のニュアンスを巡って、専門家委員の間で温度差が生じることも考えられる。こうした場合、「参考」という言葉の持つ曖昧さから、市民参加レベルが「形だけの応答」になる可能性もある一方、民意が想定以上に大きな影響を持つ可能性もある。

この場合であっても、市民意見による寄与度をあらかじめ設定・管理したり、客観的に示すことが難しいという課題に帰結する。市民の寄与度が曖昧なままでは、審査結果に関する説明責任を担保するのは困難だ。単に「市民の意見も参考に選定しました」といった程度の結果説明では、市民にとっても、また落札できなかった事業者にとっても、納得できないのではないだろうか。

 

 3)目指すべき方向性

 上記問題点を踏まえ、専門家審査と市民審査の分離を可能にする枠組み、また、市民参加レベルを客観的・定量的に設定・管理できる仕組みが求められる。この双方の実現によって、審査結果に対する一定の説明責任が確保できる。

 

5.総合評価入札の活用

 専門家審査と市民審査の分離、市民参加レベルの客観的・定量的な設定・管理を可能にするためのツールとして、ここでは総合評価方式と呼ばれる入札制度に着目する。総合評価入札は、応札者が示す入札価格と、技術提案内容など非価格要素の双方を総合的に審査・評価する制度だ。これまでの入札制度が、価格の安さのみを落札根拠としていたのに比べ、発注者側にとっては選定基準の自由度が高まるメリットがある。

公共工事では、会計法や地方自治法の規定により、価格の安さのみを入札の判断基準としていたが、2000年3月に旧大蔵省と旧建設省の間で、総合評価入札の導入に向けた包括的な協議が整った。これに伴い、会計法や地方自治法などの関係法令も、総合評価入札に対応できるよう改正された。現在、PFI事業や高度な建設工事、一部の設計者選定など、非価格要素の審査が求められる事業で導入が進められている。

1)総合評価入札とは

  総合評価入札では、入札価格と非価格要素をともに点数化した上で総合的に審査する。非価格要素としては、施工計画や工事品質の確保策、工事の環境対策や安全対策といった審査項目が多い。各項目ごとに配点を決めた上で、審査する。審査体制は、専門家を交えた審査委員会が一般的となっている。

例:(提案得点+基礎点[14])÷価格点=総合評価値。総合評価値の最も高い応札者が落札者。

法務省「島根あさひ社会復帰促進センター整備・運営事業」の総合評価入札による落札例[15]

立川市による新庁舎建設工事の審査項目(現在、検討段階)[16]

 

2)審査項目の多様化

  総合評価の各審査項目は、基本的に自治体の裁量で決めることができる。国土交通省は公共工事における総合評価方式活用ガイドラインの中で、非価格要素の審査項目の一例として「ボランティア活動による地域貢献」を挙げている。[17]一方、武藤博己は「政策入札」を提言している。たとえば非価格要素の審査項目の一部に、応札企業の障害者雇用率や女性雇用率など、労働福祉に対する取組状況などを設ける方式だ。[18]

ボランティアによる地域貢献や障害者雇用率は、本来、工事の品質などに直接は無関係の項目だが、自治体が目標とする政策そのものを入札段階で反映させ、落札企業に対して企業の社会的な責任を求める組みとなっている。三重県や大阪市など一部の自治体では、この政策入札の考え方を一部に取り入れた総合評価入札をすでに実施している。

このように総合評価入札の審査項目の多様化が進んでいる傾向も踏まえながら、市民参加を得る際に活用可能な審査項目を探る必要がある。

一方、武藤は、政策入札における非価格要素の審査体制について「学識者に公募市民を交えた審査委員会」の設置を提案している。また、五十嵐らも同様に、PFIでの審査に市民委員を交えるよう指摘している。[19]しかし、武藤、五十嵐ら、ともに具体的な審査の方法や体制に至るまでは言及していない。ただ、専門分野からの視点で評価する学識者と一般市民とが、同じ委員会に属し、同じ項目を審査するのは、審査自体の妥当性や適正さに疑問が残る。専門家審査と市民審査の分離を前提とした総合評価を検討する必要がある。

 

6.市民参加モデルの考察

総合評価入札を活用した市民参加の枠組みを「市民参加型総合評価入札」として提案する。専門家審査と市民審査の分離、市民参加レベルや寄与度の客観的・定量的な設定・管理をねらいとしている。

具体的には、総合評価入札の配点のうち、一部を市民に委譲する仕組みで、自治体が求める市民参加レベルに応じて、その上限を設定できる。つまり、市民参加のレベル、寄与度などを、客観的かつ定量的に示すことができる点が大きなメリットとなる。

あわせて、専門家審査と市民審査を分離する枠組みを設けることで、選定プロセスの透明性・公平性、説明責任の確保につながることが期待される。

 

1)専門家審査と市民審査の分離

非価格要素が100点満点の場合を例とすると、90点分を専門家が審査し、10点分を市民が審査する、といった分離手法を提案する。

市民参加方式の導入試行段階などで、市民参加による寄与度を下げたい場合は「専門家枠95点、市民枠5点」など、市民枠への配分を下げる。逆に、市民による寄与度を高めたい場合は、「専門家枠70点、市民枠30点など」といったように市民審査の配点を上げることができる。

全ての事業に一律の配点を設定するのではなく、その事業の性格や市民ニーズなどに応じて、柔軟に配点を変動させるべきである。市民参加の落札寄与度は、事業の発注者である各自治体が自らの責任で、適切にマネジメント、コントロールすることが求められる。

 

 2)審査体制

  ここでは、あくまで市民枠(例えば100点満点中10点分)に関する審査体制について言及する。

  当該施設の利用・使用が見込まれる市民であることを前提に、公募市民で構成する審査委員会による審査が効果的と考える。施設利用者の中でも、公募に応じる市民は、当該施設に対する関心や高い参加意識を持っているケースが多いためだ。

施設のコンセプトや入札手続に関する周知・徹底を図るため、公募市民委員会は審査の前段階からあらかじめ設立しておく必要がある。公募市民の選定にあたっては、地域的な偏りの解消をはじめ、特定の企業との関係などにも配慮する必要がある。

  また、審査プロセスを一般公開するプレゼンテーション方式は、公募委員以外の一般市民の参加意識を促すほか、透明性の確保という点からも有効となる。

各応札者は社名を伏せた上で、会場で自社が落札者となった際のメリットや技術的な側面も含めてプレゼンテーションする。専門知識を持たない市民が理解できるレベルで、わかりやすく説明することが求められる。

 

3)審査項目

当該施設に対する市民のニーズを踏まえながら、審査項目を設定すべきだが、専門的な知識が必要となる技術分野などの審査は避けるべきだ。専門家による審査項目との住み分けを図ることで、結果として、審査結果の妥当性が確保できる。公募市民向けの審査基準をあらかじめ設定し、周知しておく必要がある。

公共事業の存在意義を考えれば、公共施設の作り手(設計者や建設会社)は、最多のステークホルダー、つまり公共サービスの受け手である市民による理解を得られる者であることが望ましい。そこで一般的には、応札者の「市民への説明能力(プレゼンテーション能力)」や「CSR(企業の社会的責任)」などに関する項目が必須の審査項目として考えられる。

また、施設用途やエリア事情などに応じて「使いやすさ」「バリアフリーに関する方針」「工事期間中の騒音・粉塵防止、安全対策に対する取り組み」「建設現場見学会の実施計画」となど、市民ニーズに応じた様々な審査項目を組み込むことができる。

 

4)配点例:非価格要素が100点満点で、専門家枠90点、市民枠10点とした場合

専門家枠=(施工計画30+品質確保策30+環境対策20+安全対策20)×0・9

市民枠=(市民説明能力40+安全・渋滞対策40+現場見学会計画30)×0・1

最終的には「{(専門家枠+市民枠)+基礎点}÷入札価格点=総合評価値」を算出し、総合評価値の最も高い応札者が、落札者となる。

 

まとめ(成果と課題)

本稿は、公共事業の入札段階等における市民参加に関する問題提起をねらいとした。先行事例の分析を経て、「専門家審査と市民審査の分離」「市民参加レベルや寄与度の客観的・定量的な設定・管理」といった2つの課題に焦点を当て、その解決に向けた制度設計の提案を試みた。

事業者選定段階での市民参加は、まだ始まったばかりで、試行的・実験的な取り組みが多く、その運用面での枠組みも脆弱と言わざるを得ない。しかし今後、市民参加機運のさらなる進展が予想されるため、公平性・透明性や説明責任に耐えうる枠組みを想定しておく作業が重要になると考えた。

本稿は、あくまで概要版であり、次クール以降、各項目をより掘り下げて調査・研究していく必要がある。先行事例の収集もさらに進め、より精度の高い分析や市民参加レベルに応じた類型化を進めていきたい。また、総合評価入札の評価項目や評価指標についても、さらなる事例収集や調査を進める必要性がある。

 

 

参考文献

篠藤明徳「まちづくりと新しい市民参加―ドイツのプラーヌンクスツェレの手法」イマジン出版 2006年

川合正兼「コミュニティの再生とNPO−サンフランシスコの住宅・福祉・まちづくり−」学芸出版社

藤山三冬「市街地再開発事業への市民参加に関する考察」再開発コーディネーター協会・再開発研究vol.23 2007

古俣泰規「市民参加を取り入れた公開による新潟駅駅舎・駅前広場計画提案競技の実施」平成15年度国土交通省国土技術研究会



[1] 椎名映夫:「設計者選定住民参加型設計提案競技におけるプロセス公開の方法論」日本建築学会計画系論文集第589号 p150 20053

[2] 愛知県ホームページhttp://www.pref.aichi.jp/0000000041.html)

[3]「富弘美術館の施工者は、最も金額の高い鹿島に決定」日経アーキテクチュア 2003/09/02

[4] 立川市ホームページ(http://www.city.tachikawa.tokyo.jp/jp/direct-index/chosha/index.html

[5] 下呂市ホームページ(http://www.city.gero.lg.jp/HP/grant/

[6] 神戸市ホームページ(http://www.city.kobe.jp/cityoffice/17/010/etc/pfi/pfi.html

[7] 福井県鯖江市ホームページhttp://www.city.sabae.fukui.jp/pageview.html?id=2192)

[8] 地域再生本部ホームページ(http://www.city.ebetsu.hokkaido.jp/kensetsu/public/shougyou/kyougikai/kyougika i_kihon.html

[9] 江別市ホームページ(http://www.city.ebetsu.hokkaido.jp/kensetsu/public/shougyou/kyougikai/kyougikai_kihon.html

[10] 原科幸彦「市民参加と合意形成〜都市と環境の計画づくり〜」学芸出版社 2005

[11] 椎名映夫:「設計者選定住民参加型設計提案競技におけるプロセス公開の方法論」日本建築学会計画系論文集第589号 p149 20053

[12] 椎名映夫:「設計者選定住民参加型設計提案競技におけるプロセス公開の方法論」日本建築学会計画系論文集第589号 p149,p150 20053

[13] 立川市ホームページ(http://www.city.tachikawa.tokyo.jp/jp/direct-index/chosha/index.html

[14] 入札参加資格に関する得点。経営事項審査、過去の施工実績などが一定基準に達していれば満点の基礎点を与えるケースが多い。

[15] 法務省ホームページ(http://www.moj.go.jp/CHOTATSU/PFI/index.html

[16] 立川市ホームページ(http://www.city.tachikawa.tokyo.jp/jp/direct-index/chosha/index.html

[17] 国土交通省ホームページ(http://www.nilim.go.jp/lab/peg/sougou_guideline.htm)

[18] 武藤博己「自治体の入札改革・談合社会を変える」岩波書店 p190 2003年

[19] 五十嵐敬喜ほか「ポスト公共事業社会の形成」法政大学出版局 p147 2005年