(16) ザールラント州 Saarland
ドイツ南西端に位置し、フランスおよびルクセンブルクと国境を接し、「ヨーロッパの心臓部にある州」と自称している。
人口107万人、面積2570平方キロメートルの小規模州であるが、それだけに、「市民に身近な、全体の見通しの利きやすい州」であり、また、「家族、子供、お年寄りに対する配慮に行き届いている州」であるというのが、州当局の自慢である。
州都は、緑広がる丘陵地帯に産業記念物群が点在するザールブリュッケン。
この州の歴史は、独仏関係の歴史そのものでもある。
1919年ヴェルサイユ条約に基づく国際連盟の管理、1925年フランスの関税地域への編入、1935年住民投票によるドイツへの復帰、1947年フランス占領地域からフランスの関税・通貨地域への編入等のめまぐるしい動きの後、1957年住民投票を経てドイツに復帰した。
このように独仏間で翻弄された自らの州の歴史的体験から、「ヨーロッパ合衆国」の実現に向け模範的な取組を進めている州でもある。
フランスのロートリンゲン(ロレーヌ)県とルクセンブルク国とともに、ヨーロッパ・モデル地域構想を推進し、文化の相互交流等日常生活レベルにおける一体感の醸成のための施策を推進している。
一世紀にわたり、ヨーロッパの石炭・鉄鋼業の中心地の一つであったが、最近は、研究開発を尊ぶ風土と充実したテクノロジー・インフラの存在、そして州当局の積極的な企業誘致により、未来を担う成長産業が育ちつつあり、今後の州経済の飛躍的発展が期待されている。
(写真は、川沿いの自転車道、同州ホームページによる。)